これでも一応主婦なのよ~堅実主婦を目指す編~

自由気ままに生活してきたパラサイト兼業主婦が、結婚10年目を目前にシンプルで堅実な生活にあこがれ、そこに向けての軌跡をつづっていきます。

夏休みの台風~side A~

長寿台風と呼ばれる台風5号が通りすぎました。

私のすんでるエリアではそれほど被害はありませんでしたが、皆さま大丈夫でしたか?

 

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さて、ここのところ暖めていた日記×小説。

ようやく形にしていけそうなのでここで。

最近お気に入りの設定、年の差幼なじみ。

お互いに恋心に気づいてるんだか気づいてないんだか。。

キュンキュンを求めているのかもしれません。

ではさっそく!

 夏休みの台風~綾の場合~

夏休みは毎日朝6時から夕方6時までびっしり練習漬け。

所謂、「強豪校」と言われる吹奏楽部に所属している。

遊びに出かけたいと思っていても時間がない。

体力に自信があるとはいえ、基本、外か、
クーラーもなく、風の通りも悪い講堂での練習が半日である。
練習が終わってから遊びに行こうと思っても限度がある。

 

しかし今朝起きてみると

兵庫県南部 大雨警報 暴風警報発令中」

これはまさか練習休み?!
しかも窓の外を見ても雨はちょっとしか降っていない。

さっそく同じ部活の友達に連絡を取ると
友達も同じことを考えていたようで

「じゃあ9時に駅の時計のとこね!」

とあっさり決まった。

 

一応すでに仕事に出かけた母親にもメールを入れておく
「練習休みになったから、えみちゃんと神戸いってくるー」

出していた制服をクローゼットにしまい、
代わりの服を選ぶ。

風が強いならジーンズでいっかな。

適当な服に着替え
意気揚々と家を出て
誰もいない家に向かって

「いってきます!」

と声をかけて鍵を閉めた。

 

「あーや??」

声の主は隣に住む7つ年上の兄のような存在。

「あ!いっくん!!!」

傘をさして隣の家の入口まで走っていく。

「今日、、さすがに練習休みだよな?」

いっくんと呼んでいる兄のような存在に絶対的な憧れを持っている私は
当時彼が通っていた高校、所属していた部活に、現在所属している。

「うん!休み!だからえみちゃんと神戸に行こうと思って!」

いっくんは社会人だから台風でもお休みではない。
それは唯一の家族である母親も同じである。

「高校生はうらやましいなぁ・・・」

 眉を寄せつつもほんのりと笑う顔に思わず心が跳ねる。

「いっくんも練習休みになったら遊びに行った?」

「あぁ、そうやな。でも電車止まっちゃってめっちゃ怒られた!
 あーやは気をつけろよ!
 あと、神戸だったら職場近いからなんかあったら連絡してええから。」

こういう時、頭ごなしに「だめ」と言わない優しさに甘える。

「ありがとう!気を付けるね!
 いっくんお仕事頑張ってね!

 いってきまーす!!!」

 

待ち合わせの駅に着くと、約束をしていたえみちゃん以外にも
同じ部活の友人を何人も見つけた。

お互いを確認すると、お前もか。と笑いが起こる。

「けんちゃんたちもどっか出かけるの?」

同級生の男の子グループだ。

「うん、大阪に!せっかくやもんね!平井たちも?」

「うん。せっかくの休みやもんね。
 私らは神戸!ほんじゃねー」

時間は限られているので挨拶もそこそこにそれぞれの電車の乗り場に向かう。

 

神戸に着くと、雨脚は少し強まっていたが
基本地下とアーケードに囲われている範囲で遊べるので
すっかり天気のことは忘れてショッピングに興じていた。

 

少し遅めのランチを食べ終わったころ
スマホを見てみると母親からの不在着信が数件とメールの通知があった。

『西の方電車止まってるわよ!そろそろ帰りなさい!』

外を見てみると、歩いている人もまばらだ。

えみちゃんも母親から連絡が入ったらしく
電車が動いているうちに帰路についた。

 

えみちゃんとは電車内で別れ、一人最寄駅の改札を出ると、
雨脚はさらに強まっていた。

「滝かよ」と思わず口からこぼれる。

間違いなく傘は役に立たない。
この場合守るべきはカバンの中身のスマホと本。

それを教えてくれたのは数年前野外ライブ中に
ゲリラ豪雨に見舞われてスマホを壊したいっくんだ。

改札の向かいにあるコンビニに走り込み温かい飲み物を買い、
余分にビニール袋をもらった。

コンビニの軒先で温かい飲み物を飲みながらスマホを確認すると
いっくんからLINEが来ていた。

『ちゃんと帰れてるか?俺も帰宅令出て今日は早上がり♪』

すぐに返事を入れる

『よかったね!私も今帰るところ♪』

返事を終えるとコンビニの袋にスマホと本を入れる。

口をしっかり結んでまたコンビニの袋をかぶせてくくる。

3重に袋をかぶせカバンに入れる。

飲み終わったペットボトルをゴミ箱に入れ、

ふぅ。と一息つき心を落ち着けてから傘を広げて滝のなかへ。

 

 駅からは20分ほどの距離がある。

5分も歩かないうちにスニーカーは中までぐっしょり。

傘をさしているのになぜか髪まで濡れてきていた。

「やっぱ傘さしてもむりやなー」

ただ風にあおられるだけの傘を畳んで
思いっきり濡れると
徐々に非日常的な状況にテンションが上がる。

薄暗い雑木林のけもの道のような道。
最近変質者が出るからと通ることを躊躇していたが
家までの近道。

さすがにこんな大雨の日に変な人でないもんね。

そう思ってこの道を選んだ。

舗装なんてされていない、木の根に足をかけながら
急勾配を一気に駆け上がる。

あと一歩で舗装された道に出る。

と思ったら足元が緩んでいたせいで
上った道から一気に滑り落ちてしまった。

分かりやすく泥まみれでこれまた面白くて
笑いが込み上げてきた。

一通り笑って、気持ちが落ち着いてくると
手とお尻が痛いことに気づき気持ちが沈み始めた。
仕方ないから階段あるところまで戻るか。。

 

よいしょっと立ち上がろうとしたとき
「綾!!!」
上から声が聞こえた。

ついさっき、私が上ろうとしていた道を
滑るように降りてきたのは
私と同じように全身ずぶぬれで
眉間にしわを寄せ、怖い顔をしたいっくんだった。

「どうしたの?!」

「どうしたもこうしたもあるか!
 電話したのに出ないから心配するやろ!」

「あぁ。壊れちゃいけないと思って袋に入れてたの!」

えらいでしょ?と言わんばかりに主張すると

「あほぅ!その前に迎えに来てって言えよ」

と頭を小突かれた。

「立てるか?」と手を取られる。

そのまま手をつないで、
ちゃんと舗装された階段を通って家まで帰った。

家の前まで来ると、いっくんは「ちょっと待ってろ」
といって自分の家からバスタオルと雑巾を手に戻ってきた。

「すぐに拭いて風呂入れよ!」

そういって走って家に帰って行った。

「ありがとうもまたねも言えんかったやん。。」

借りたタオルと雑巾で体や服を拭い、
お風呂に入った。

温かいお風呂に入っているといろいろ面白くなってきて
意味の分からない歌を歌う。

心配そうな顔をしたいっくんを思い出して

「いっくんのあほぉぅ~」

と歌にのせると
脱衣所においているスマホがLINEの着信を告げた。

お風呂から出て確認すると
「誰があほじゃ。変な歌聞こえとるわ!やめろ!(笑)」

お礼のメールとか電話とかしなきゃ。
そう思いながらもお風呂上りの眠気には勝てず
夢の中に引きずり込まれていた。

 

 んーーーー何時?

「6時前」

「ぬあーーーーー?!遅刻や!!!」

一気に飛び起きる、あれ?
リビングで寝ちゃった?

あれ?6時前なのにキッチンの電気がついてない?
ママも寝坊??

いっぱいはてなが飛んだまま部屋を見回していると
ソファにもたれて座るいっくんが笑いをかみ殺していた。

「・・だ、大丈夫。。夕方の6時。

 華子おばさんは残業やって。」

ようやく状況が理解できると
一気に脱力した。

「なんだ、よかったぁあぁ。。。。」

 

「あ、タオルまだ洗ってないの。
 また今度持って行くね。
 それと、今日はありがとう。」

「どういたしまして。風邪の兆候もなさそうでよかった。」

柔らかく笑いながら私の頭をなでられてドキッとする。

「やっ、、優しいお兄ちゃんにあーや特製のカフェオレを作ってあげる!」

赤くなってしまったであろう自分の顔をごまかせただろうか。

俯いたままキッチンでカフェオレを作った。

リビングで一緒にカフェオレを飲みながら
今日、この大雨でスマホが無事だった話や
濡れ過ぎたら楽しくなったこと、
それから最近の練習の話、
たくさん話をした。

いつもいっくんは、
くだらない話も全部聞いてくれる。

かっこよくて優しいお兄ちゃん。

そんなお兄ちゃんに近づきたくて
同じ高校を目指して
同じ部活を頑張っている。

邪まな気持ちで始めた吹奏楽だったけど
今では楽しくて仕方がない。

ちょっと背伸びをして入った学校だから
勉強はだいぶやばいけど、
それでも充実した毎日を過ごしていられるのは
きっかけをくれたいっくんだ。

「いっくん、コンクール頑張るね。
 いっくんたちのときみたいな演奏ができるようになりたい。」

「あーやはあーやの演奏をすればええんやで」

「うん。わかってる。」

「せや。練習もええけど、宿題もやれよ。毎年夏休みに終わってないやろ。」

「う。。。ばれてた?」

思わず首をすくめて上目使いで様子をうかがう。

「バレバレや。」

いたずらっこみたいな笑顔のまま髪の毛をくしゃくしゃっとされる。

子ども扱いに思わず口を尖がらす。

「せっかく時間あるし宿題やろっかなぁ」とつぶやくと
「そんじゃそろそろ帰るか」というので
「じゃぁやらない!」と思わず言ってしまった。

どう言い訳をしようかと考えていると
「仕方ないなぁ。さびしがり屋のあーやの宿題見てやるよ」
と言ってくれた。

「わーい!いっくん、数学やって!」

「俺は見るだけでやるのはあーや!」

よかった。もう少しこの時間が続く。

 

外の天気はだいぶ静かになっていた。

もう少しだけ。もう少しだけ一緒に。

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あとがき~台風の思い出~

さて、長くなりました。

台風が来た時に思い出した出来事でした。

半分ちょっとがフィクションで、
残りのちょっとがノンフィクションです。

高校の時はほんとに遊ぶ時間がなくて
台風の時に遊びに出かけたら
同じ部活の友人に会って面白かったです。

土砂降りの中歩いて帰るわけでなく、
ちょうど仕事の終わった母親の車に乗せてもらって帰りました。

懐かしい思い出です。

今度は、いっくん目線同じお話を書きます。